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日本人的ゴスペルとは?

今回、ジャズナビにおいて、
ゴスペル情報を充実させるに当たり、
全国のゴスペルクワイア、サークルのサイトを訪れた。
その際、無宗教者、非キリスト教徒にとって、
ゴスペルは歌えるのかどうか、深く考えさせられた。

そもそも、日本におけるゴスペルブームは
1990年代初頭から始まった。
ことの起こりは、
ウーピー・ゴールドバーグが主演した映画、
「天使にラブ・ソングを」(1992年)
「天使にラブ・ソングを2」(1993年)
の全米大ヒットだ。

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日本でもゴスペルブームが生まれ、
多くの著名なゴスペルクワイアが来日し全国を公演して回った。

ただ聴いているだけでなく、自分達もゴスペルを歌いたい。
1999年頃から、各地でゴスペルクワイアが結成され始めた。
米国本場のディレクターの来日や、
日本人ディレクターの育成など、
国内でもゴスペルを歌える環境が整うまでには、
5年以上の年月がかかったことになる。

ゴスペルクワイアは大別すると2種類ある。
1つは、「教会系」、
つまり、キリスト教会が布教の手段として主宰するもの。

もう1つは、「音楽系」、
つまり、ゴスペルを純粋に音楽と捉え楽しむ為に、
自主的に結成され人が集まったもの。
音楽サークルの場合と音楽スクールの場合がある。

米国では、前者「教会系」が大部分を占めるのに対して、
日本では、むしろ「音楽系」が多い。
これは、日本人の多くが、実質的無宗教であり、
キリスト教徒ではない事に起因する。

ホームページの記載内容を見てみれば一目瞭然だが、
教会主宰のゴスペルは、
「神を愛せよ、称えよ、賛美せよ〜♪」という感じで、
はっきり言って近寄りがたいクワイアがかなりある。
キリスト教徒で無い人にとっては、
少し押し付けがましいような気がするのだ。

「キリスト教徒でなくても参加できますよ〜」
というクワイアもあるが、
「本当かな〜」
「いつの間にか入信させられるんじゃないかな〜」
と恐怖を感じてしまうのは私だけだろうか?

新興宗教が社会問題となっている現在、
日本人は宗教アレルギーになっている。
布教活動の一環としてゴスペルを開催している所も多く、
よくある新興宗教の勧誘とどう違うのかとさえ思う。

私も含め、ほぼ無宗教の日本人にとっては、
「音楽系」クワイアのような純粋にゴスペル風の音楽を楽しむ方が
自然のような気がする。

ゴスペル好きの人の多くは、
ゴスペル音楽の持つ調和と躍動感に対して憧れているのであり、
キリスト教徒に憧れているわけではない。
キリスト教徒でもないのにクリスマスを祝う、
日本人の「こだわらない」「ノン・ポリシー」「ノーボーダー」な点は、
愛すべき特徴だと思う。

歌詞の意味が分からないのに、
ゴスペルを聴いて「いいなー」と思うのは、
ゴスペルが神を賛美しているからではなく、
ゴスペルという合唱音楽自体の完成度が高いからだ。
キリスト教徒が歌っているからではない。

宗教心のある下手なゴスペルクワイアと
宗教心の無い上手なゴスペルクワイアの
どちらに聴衆は感動するだろうか?

恐らく後者だろう。
信じられないなら、
比較実験を行ってみるといいだろう。

宗教心の高さが音楽に影響することはありえない。
もし宗教心の高い人の演奏が素晴らしかったなら、
それは、その人の演奏技術が高かったからだ。
宗教心は、自分を鼓舞し、感動させる為の動機であり、
自己満足的な要素に過ぎないのだ。

洋楽で歌詞の意味が分からないのに、
ジョン・レノンやビリー・ジョエルなど
「いいなー」と思えるのは、
そのメロディ、リズム、バック、歌声が美しいからだ。

もちろん歌詞の意味が分かれば
多少、その曲への感情移入が高まり、
演奏に影響する可能性もあるが、
演奏技術を凌駕するほどの要素ではない。

私はキリスト教徒でないのに、
アベマリアや
バッハの宗教曲を聴いて涙する。

音楽を演奏したい、聴きたいと感じたり、
音楽を聴いて感動したりすることは、
宗教心の有無とは別の次元のものだ。

人の心の中に共通して存在する
何か根源的な部分から生まれてくる、
素晴らしい感情からではないだろうか?

さて、ゴスペルに宗教心は必要であるかどうかだが、
本当にゴスペル音楽が好きなら、不要だろう。
キリスト教信者じゃなくてもゴスペルは歌える。
なぜなら、ゴスペルだって音楽だから。
その起源が宗教だったというだけだ。

歌ってはいけないという理由もない。
信者じゃないのに
「神を称えよ、賛美せよ〜♪」
と歌うことの矛盾さえ気にならなければ。
だが、クリスマスでは賛美歌を歌うし、
信者でもないのに教会で結婚式を挙げること考えれば、
悩むほどの問題ではない。

信者から
「宗教心が無いから似非(えせ)ゴスペルだ」
と言われるかもしれない。
そんな時は、
「あなたこそ『似非信者』じゃないの?」
と言い返せばいい。
それでも何か言ってくるなら、
「そもそも黒人ではないから歌う資格ないんじゃないの?」
という根本的問題を持ち出せばいい。
ゴスペルは抑圧された黒人達が作り上げた宗教音楽なのだ。

キリスト教徒が宗教心によってゴスペルを歌うのも、
音楽好きが純粋に音楽の感動を味わう為にゴスペルを歌うのも、
別にどっちだっていいじゃん!

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流 音弥
2005年7月24日

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