エンドレスに耐えうる音楽
以前のエッセイで書いたように、
私の好きな曲(音楽)は、「眠れる音楽」である。
だが、それと同時に、
もう一つ私の曲の趣味を決定付ける要因がある。
それは、
エンドレスに流し続けても
苦痛にならない曲、かつ
飽きが来ない曲であることだ。
寝ている間中流し続ける訳だから、
「エンドレス快適性」は当然と言えば当然の要素だが、
気持ちが高ぶってたりして、
寝入るまでに若干時間がかかる時には、
特に重要な要素となる。
寝入る前にCDをエンドレスモードにセットし、
音楽を聴きながら眠りにつこうとするが、
何度も繰り返し聴いているうちにだんだんイライラしてきて、
目が冴えてしまって、
ついには起き上がって演奏を止めて、
別のCDをセットし直すことが時々ある。
静かな曲やアルバムだからといって
必ずしも眠れるとは限らない、
何度も聴いているうちに嫌になる場合がある、
というのが音楽の不思議な点である。
その曲自体に問題がある場合と、
私の心理状態に問題がある場合
の2通りが考えられる。
いつもなら1日中聴いても飽きない大好きなアルバムであっても、
ある時は、2度目の演奏で耐えられなくなることがある。
そのアルバム中の曲のリズムやメロディに含まれる何らかの要素が、
その時の心理状態に悪い影響を及ぼすのだろう。
望ましいのは、
私がどのような心理状態であっても、
苦にならない曲、
(いや、それでは不十分だ)
最も望ましいのは、
どんな心理状態の時に聴いても、
心から安らげる、安心して聴ける曲
なのだ。
では果たしてそのような都合の良い曲があるのだろうか?
例えば、
「環境音楽」に代表されるような、
BGMとして流されることを目的に作曲された曲や、
「癒しの音楽」と呼ばれる
α波を出させ心を癒すことを目的に作曲された曲
などは、
一聴すると非常に聴きやすい。
永遠に聴いていても疲れないような気がするが、
実際はそんなことはない。
2回目の演奏で、既に不快感が高まってきて、
3回目の演奏では、もうこれ以上耐えられない。
「癒し」という一種の精神治療という、
不自然かつ作為的な目的の為に作成された曲
だという点に限界が生じているのだ。
音楽は、人の心、感性、娯楽に訴えるものであり、
それを忘れた人工的な音楽で、
真の癒しは与えることはできない。
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実は、私に限ってのことだが、
「エンドレス快適性」は、
曲の楽器編成が少なければ少ないほど高い
という結論に至っている。
ベストは単独楽器、つまりソロによる演奏だ。
私のお気に入りベスト3をいくつか紹介しよう。
1. ギドン・クレーメル(バイオリン)
バッハ無伴奏ソナタとパルティータ
2.パブロ・カザルス(チェロ) バッハ無伴奏チェロ組曲
3.グレン・グールド(ピアノ) バッハのソロ演奏シリーズ
残念ながらどれもクラシックだ。
ジャズのソロ演奏となると、
通常、ピアノ演奏に限定されてしまう。
ジャズの最大の特徴であり魅力であるスイング感を出すには、
ベース、ドラムのリズム陣が不可欠。
美しいメロディラインを演奏するだけでなく、
単独でスイング感を十分に出せる楽器は、ピアノしかない。
ピアノはメロディ楽器であると同時にリズム楽器でもあるからだ。
悔しいことだが、
サックスやトランペットなど管楽器のソロ演奏では、
ピアノほどのスイング感は出せない。
では、ジャズピアノのソロ演奏がなぜ、
私のお気に入りベスト3に入らないのか?
ここでの選択基準は、
先にもあげたように、
どんな心理状態の時に聴いても、
心から安らげる、安心して聴ける曲
であるからだ。
「どんな心理状態の時に聴いても」
という前提条件の下では、
聴く人のその時の心理状態によって、
良くも悪くも大きく左右される
というジャズの特性・ダイナミズム
は、残念ながらマイナス要因となる。
これはジャズがクラシックより上だとか下だとか、
そういう問題ではない。
音楽の特性の違いである。
時には、涙が留めなく溢れ出し、体の震えが止まらなくなる程の
最高の感動・高揚感を与えてくれるジャズ、
だが、「眠りにつく」為には、
感動・高揚感はむしろ邪魔になり、
「目が冴えてしまう」要因にもなりかねない。
「眠りを妨げない」という意味での「安らぎ感」、
それがクラシックのソロ演奏なのだ。
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ここまでは、
「眠りにつく為のエンドレス快適性」がテーマだったので、
どんな心理状態の時に聴いても、
心から安らげる、安心して聴ける曲
としてクラシック・ソロ演奏を選択した。
だが、起きている時に、エンドレスで聴く場合は、
ソロ演奏である必要もない。
むしろ、「飽きが来ない」という点が最も重要になる。
それ以前の問題として、
そもそも起きているのに 「エンドレス」で聴く必要性があるのか?
という疑問を感じられるだろう。
私は、他にもサイトをいくつか運営していて、
メンテナンスをしたり、情報収集したり、エッセイを書くなど、
平日、休日ともにパソコンに向かっている時間は長い。
そんな時、ずっと音楽を流しっぱなしになるが、
CD1枚の演奏が終わるごとに入れ替えるのは案外面倒だ。
パソコンに向かっていると1時間、2時間など、
あっという間に過ぎてしまう。
そんな時は、
2,3回位繰り返し聴いても気にならない、
いや、楽しめるような曲(アルバム)がいい。
となると、ピアノ・トリオやボサノヴァあたりが丁度いい。
心地よりリズムと適度な刺激がポイントである。
先にあげたお気に入りの「眠りにつくためのアルバム」
を聴いても安らぎが感じられていいのだが、
実はそこに大きな問題がある。
聴いている内に眠くなってしまうのだ。
脳が覚醒した状態でなければ「仕事」ができないので、
これでは本末転倒になり聴く意味が無い。
寝てしまっては、もともこうも無いのだ。
サックスやトランペットのカルテット演奏だと、
逆に音楽に引き込まれてしまって、
「仕事」の方が手に付かなくなる。
むしろ、何か真剣に考え事をする時に聴く事が多い。
そんな時に聴くお気に入りのアルバムは、
もちろんエンドレス再生だ!
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眠れるお薦めアルバム
|
★★★★
|
バッハ:無伴奏VNソナタとパルティータ |
| パブロカザルス/バッハ:無伴奏チェロ組曲(全曲) | |
|
★★★
|
グレン・グールドのバッハ演奏 |
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流 音弥
2004年5月30日








